トゥレット症候群への歯科マウスピース治療について

                                    (解説:望月歯科院長/望月雅仁)



   平成28年5月日本に初めて米国の歯科開業医

Dr.Anthony.B.Simsによりトゥレット症候群の患者さんへの

マウスピースによるチック症状および付随する障害の軽減

緩和の治療法が紹介されました。

 Dr.Anthony.B.Sims(以後Dr.Simsと略す)によると、トゥレット症候群(TS)の患者さんの顎関節をMRI造影すると関節包内で神経の圧迫と顎関節頭の変形がよく認められるそうです。よって、この神経(耳介側頭神経)の圧迫が脳内の神経伝達物質であるドパミンやセロトニンの過剰分泌と放出不足につながりチック症状が続くのではないかと考えています。

 そこで顎関節の神経圧迫を取り除くためのマウスピース(スプリント)を考案したわけです。その学説に則り、Dr.Simsにトレーニングを受けた日本の歯科医がこの治療法に携わっています。

   *   *   *   *   *   *  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   

< 歯科医院での治療手順 >


①問診 問診を十分に行い、MRI撮影の必要性をお伝えします。

 

 

 

 

 

 

     (参照:MRI画像)


 ② 検査 

      筋肉触診や運動テストを行います。

   また、舌圧子を用いて患者さんに噛んでいただき少しずつ厚みを増しながら、チックが

   減少する枚数を計測すると同時に体の反応を観察します。

     必要に応じて患者さんに舌圧子をお渡ししてご家庭で使っていただくこともあります。

  

 

 

 

 

    (参照:舌圧子を用い

          適切な高さを考察)


   マウスピース製作

    MRIの結果に基づき、マウスピースの製作に入ります。

 マウスピースはMRIの所見、舌圧子で得た高さをもとに作ります


  マウスピース完成および調整

    最初は慣れが必要ですのでご家庭で使用していただき少しずつ日中の外出時も使用できる

      ようにしていきます。

 

 

 

 

 

  (参照:マウスピース一例)

     *高さや形状は、個々によって違います


   経過観察

 症状が軽減してくるまで個人差はありますが半年から1年経過を診ていきます。

 


  矯正治療

患者さんのご希望や必要に応じて、持続的な症状軽減を図るために歯列矯正治療を行う

場合があります。


    ※医療機関でトゥレット症候群という診断をお受けになった方が対象になりますが、

     この治療法がトゥレット症候群の方すべてに効果があるわけではありません。

     現在、日本の歯科医はマウスピースでの治療効果および精度を上げるべく日々

       研究努力しております。

  尚、この治療に関心のある方は関連リンクの

 「トゥレット症候群治療推進学会」のHPをご参考になさってください。